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スタンス変えたら何かが見えてくる。Tube Graphicsキムラの日常的浮遊。

[プロダクトデザイン]商品開発に関わるすべての人へ。著者の一人・黒川雅之さん

2009.7.17 Friday kurokawa1.jpg [プロダクトデザイン]商品開発に関わるすべての人へ 出版記念イベントとして著者の一人・黒川雅之さんの話を聴いた@アップル銀座 初めてお会いしたが、渋い、いい声にまず驚いた(笑)。 1時間の短い時間に黒川さんの思いや気迫がこれでもかという程に伝わってくる。 そのどれもがこちらの胸に響いてくるが、その中からごく一部をメモ的に。 「○○って何だろう?」からデザインは始まる テーブルって何だろう?イスって何だろう?皿って何だろう?カメラって…… 人間と道具との関係---手とどこまで馴染むかとデザインはそんな風に考える。 素材を大事にしている 1、形があって素材があってそこに光が当たる、そしてデザインが成立する。 2、自分のデザインはいつも素材から入る。 3、アルミ、鉛、ゴムなどの材料は目で見るものでなく手で触るもの、匂いや重さなど素材は身体中で感じるもの。 4、分かったという知性ではなく感動に震えがとまらないというの感性でするもの。 上の写真の時計を作ったときの35年程前のエピソード  ゴムを削ってようやく最初の試作1号ができた時、メーカーは売れそうにないから作りたくないと言う。ゴムの型代にもお金がかかるので投資したくないと。そこで何個売れたら作る気になるかと問えば100個という。黒川さん「僕が100個買います。」と即答したそうだ。  「デザインって大体そんなもの、作りたくて仕様がなく作っている。デザインしたくてやっている。売りたくてやっているんじゃない。それができたときにウォーと自分でニコニコする。それはまるで詩と同じです。彫刻や歌をうたうのと同じです。」 とても共感するところです。 こんな一節を思い出しました。一部紹介します。
頼まれもしないのにする仕事
 デザインという仕事の本質はモノを形づくることよりも、むしろ“提案する”ことの方にある。デザインの仕事はクライアントから依頼されるもので、そうでないものは作品やアートと呼ぶ方が相応しいと思う人もいるかもしれないが、決してそんなことはない。
 歴史を少し遡ってみよう。デザインの黎明期、たとえばウィリアム・モリスからバウハウス、モダンデザインまでの約100年間を眺めてみると、そこにいるのは、誰に頼まれもしないのに何かをつくりつづけた無数の先駆者たちだ。モリスのチョーサー著作集にも、マルセル・ブロイヤーのワシリーチェアにも、イームズのDCM(椅子)にも、クライアントは存在しない。
 これらの仕事において、デザインとは極めて個人的なアイデアを、具体的な形で世の中に提案する仕事だった。企業の依頼をうけてその経済活動を美的側面から支援するというデザイナーの仕事は、おもに大戦以降、資本主義経済が発展してゆく過程で形成された、わずか約半世紀間のデザイナー像に過ぎない。

 西村佳哲著『自分の仕事をつくる』より
西洋と日本の建物の造りに日本人の自然観が見える kurokawa2.jpg 日本の美意識 日本の文化は、何もしない「そのままがいい」という日本の美意識が常に背景にある。 デザインの4つの要素 1、遊ぶように詩のように考えるのが基本 2、命をかけて美を探す(葉隠三島由紀夫千利休) 3、人の気を引くサプライズ 4、クライアントのために仕事をするプロになる(→透かして自分や人類のためにも) モノの周りにも気配が存在する
プロダクトデザイン 商品開発に関わるすべての人へ

プロダクトデザイン 商品開発に関わるすべての人へ

自分の仕事をつくる (ちくま文庫)

自分の仕事をつくる (ちくま文庫)

  • 作者: 西村 佳哲
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2009/02
  • メディア: 文庫